【遺伝ガチャで人生は決まるか?】無理ゲー社会【書評_8冊目】

20210826_murige_syakai01-scaled.jpg 読書まとめ

あなたは「遺伝ガチャで人生が決まると思ますか?

今回は「遺伝ガチャで人生が決まる?」や「現状の社会の仕組み」、「今後の社会の仕組みはどうなるのだろう?」といったことについて書かれている本を紹介します。
※結構自分の頭ではちょっと難しい本でした

本のタイトルは『無理ゲー社会』です。
※本のタイトルが面白かったので読んでみました

著者は「橘玲(たちばなあきら)」さんです。最近橘玲さんの考えに共感してますw

2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。同年、「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』が30万部を超えるベストセラーに。06年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞受賞。

Amazonの紹介ページより抜粋

より深く知りたい方は、著者本人のWebサイトで紹介がありますのでそちらを参照ください。

橘玲6つのQ&A

書籍の紹介

さて、あなたは次のようなことを思ったりしてないでしょうか?

  • 学校の先生や親から「夢を持て」と言われるが、「なぜ夢が必要なのか?」と思った
  • この社会は有能な人だけが勝つのではないか?

これらの疑問を教えてくれるのが『無理ゲー社会』です。

その他にも経済格差や資本主義の話しなど様々な内容がありますが、自分の頭では理解しきれないところもありましたが、今まで考えたことのない話しが多いので面白いなと思わせるそんな一冊です。

この本の構成は全5つのパートに分かれて書かれています。

5つのパート
  • 1 「自分らしく生きる」という呪い(『君の名は。』と特攻;「自分さがし」という新たな世界宗教)
  • 2 知能格差社会(メリトクラシーのディストピア;遺伝ガチャで人生が決まるのか?)
  • 3 経済格差と性愛格差(絶望から陰謀が生まれるとき;「神」になった「非モテ」のテロリスト)
  • 4 ユートピアを探して(「資本主義」は夢を実現するシステム;「よりよい世界」をつくる方法)
  • エピローグ 「評判格差社会」という無理ゲー

本の内容をざっくり話すと次のような流れで書かれています。

  • 自分らしく生きるというのがなぜ呪いなのか(「自分らしく生きる」という呪い)
  • 知能の有無で人生の勝ち負け決まるのか(知能格差社会)
  • そしてその知能は遺伝によって決まるのか(知能格差社会)
  • 経済格差や性愛格差が広がるとどうなるのか(経済格差と性愛格差)
  • 資本主義と今後の世界について(ユートピアを探して)
  • 資本主義の後の世界について(エピローグ)

この各項目の内容を読んだ上で、今の世界や日本の社会について、そして今後について自分なりに考えてみるのは楽しいかと思います。

本の中でもっとも興味が湧いた点2つ

『無理ゲー社会』で自分がもっとも興味が湧いた点2つ説明します。

  1. 努力できるかどうかも遺伝する
  2. 無職の男性や高齢者よりシングルマザーの方が能力が高い

努力できるかどうかも遺伝する

一つ目の興味が湧いて点です。

人が成功するためには知能と努力が必要ですが、知能は遺伝するのは一般的な話しですが、実は「努力できるかどうかも遺伝する」ということです。

努力にも遺伝があるのは初めて知ったので驚きでした。

どのくらい遺伝で決まるかというと本書によると次のように書かれています。

知能だけではなく努力にも遺伝の影響がある。図表4でも、遺伝率は「やる気」が57%、「集中力」が44%で、努力できるかどうかのおよそ半分は遺伝で決まる。

これを見て思うことは今の社会では「努力を続ければいつかは成功する。努力していない奴が悪い」みたいなことをいわれてますが、実は遺伝的に努力ができない人もいるので「努力すれば〇〇」ってのは間違ってるなぁと思いました。

まぁ知能が高ければ努力をしなくても要領のいい方法を見つけて成功していくと思うのですが、知能も低くて努力属性もない人にとってはこの社会は大変なんじゃないかなと感じました。

なので、続けることが苦手な人がいても「なるほど。そういう性格なんだなぁ」と今後思うようにしようと思います。

まとめると、こうなります。

・努力は本人も問題だけではなく遺伝の問題もある
・続けるのが苦手な人もそれは性格である
以上が一つ目です。

シングルマザーの方が無職の男性や高齢者より能力が高い

続いて二つ目の興味が湧いた点「シングルマザーの方が無職の男性や高齢者より能力が高い」です。

ここでいう能力とは仕事ができるという意味になります。

なぜシングルマザーの方が仕事ができる能力が高いと言えるかというと「シングルマザー」と「低学歴の男性や高齢者」に対して行った雇用政策の調査結果の海外のレビューから分かると本書では書かれています。

「福祉から雇用へ」を掲げる積極的雇用政策は、どの程度効果があったのか。OECD諸国の事例を対象とした2001年のレビューでは、以下の4つのことがわかった。

  1. 職業訓練は、職場復帰を図る女性に有効であり、低学歴の男性や高齢者の労働者には有効ではない。
  2. 政府部門による直接雇用は長期的にはあまり有効ではない。民間の雇用者に対する雇用補助は、長期失業者や職場復帰を図る女性には有効だった。
  3. 若者向けの雇用政策(雇用補助金、職業訓練、雇用機会創出)は一般的に有効ではない
  4. 公的職業紹介は、ほとんどの失業者、とくに女性に対して有効だった。

ここからいえるのは、積極的雇用政策は女性の失業者に対しては効果的に機能するが、それ以外の失業者(低学歴の男性や高齢者)にはあまり役に立たないらしいことだ。ここでは母子家庭かそうでないかを区別していないが、彼女たちの多くがシングルマザーだと考えれば、このことは母集団のちがいで説明できるだろう。

積極的雇用政策は失業した人の雇用や賃金の増加を図る政策です。
これを見る限りたしかに女性の方に有効ですよね。

そして、橘氏の見解としてはここでいう女性の多くがシングルマザーと仮定すると、なぜ女性の方が有効なのかを説明できるとしています。

簡単に説明すると次のようになります。

  • シングルマザーは運が悪くたまたま子供を持って失業してしまった
  • シングルマザーは子育てする為に無職である
  • シングルマザーは子育てでスキルを習得する時間がないためスキルがなく採用されにくい

そのため、女性の中には「たまたま失業してしまっただけのシングルマザー」と「低学歴、高齢者の女性」のグループがあり「たまたま失業してしまっただけのシングルマザー」は能力値は一般的に働いている人たちと変わらないため、女性の方が有効なのかと推測しています。

これを見てなるほどと思いました。

そうすると、今の世の中リモートでも仕事ができる時代なのでプログラムとか動画編集とか時間で縛られない働き方ができるので、採用するならシングルマザーの方を採用したほうがいいんじゃないかなぁと個人的に感じました。

まとめると、こうなります。

・シングルマザーの方が無職の男性や高齢者より能力が高い
 なぜなら、シングルマザーはたまたま無職になってしまっただけで
 元々の能力値は一般レベルと変わらないから
・時間で生産性が左右されない仕事(プログラム、動画編集)などはシングルマザーを
 採用したほうが高いパフォーマンスを発揮するかも
以上が最も興味がわいた2点でした。

ひと言まとめ

最後にひと言まとめです。

現在の能力主義では遺伝で半分くらいはすでに能力が決まっている
だとすると、自分の能力を把握して能力に見合った生き方をするのが楽しく暮らせるのでは?
遺伝だけですべて決まるわけではないですが、影響はかなり大きいってことは理解しておく必要があるということが分かる本でした。

書籍情報

【書籍名】無理ゲー社会 
【著者名】橘 玲
【出版社 】‎ 小学館 (2021/7/29)
【こんな人におすすめ】なぜこんな社会になっているのかを知りたい人
【キーワード】無理ゲー社会、遺伝ガチャ、知能社会
【頁 数】288ページ

橘玲さん今回もとても面白い本ありがとうございました。

以上です。ありがとうございました。

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