あなたはいつも正しい意思決定できていますか?
今回は多くの人が普段行っている「良い意思決定をするにはどうすればいいのか?」について書かれている行動経済学を実践に使うための本を紹介します。
本のタイトルは『行動経済学の使い方』です。
著者は「大竹 文雄」さんです。
1961年京都府生まれ。1983年京都大学経済学部卒業、1985年大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了、1996年大阪大学博士(経済学)。大阪大学社会経済研究所教授などを経て、大阪大学大学院経済学研究科教授。専攻、行動経済学、労働経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Amazonの紹介ページより抜粋
より深く知りたい方は、著者本人のWebサイトで紹介がありますのでそちらを参照ください。
書籍の紹介
まずは行動経済学はご存じでしょうか?
文字だけ見てみると「行動経済学?」何か難しそうと思うかもしれませんが、行動経済学とは普段自分たちが行っている「意思決定」をどんな手順でやっているの?ということが分かる学問です。(すごいざっくりですw)
もう少し詳しく説明すると、元々経済学だけでは説明することができなかった、人間の不合理な行動を色々観察してその行動を経済学と合わせたものが行動経済学になります。
2002年に行動経済学者のダニエル・カーネマンさんががノーベル経済学賞を受賞して以来、脚光を浴びるようになった学問です。
興味がある方は、ダニエル・カーネマンさんのファスト&スローを読んでみてください。
さて、本書の話題に戻ります。
あなたは次のような行動を取ったことないですか?
- ダイエットしているのについつい甘いものを食べてします
- お正月に目標を立てたのに年末にはすっかり忘れている
- 3つプランがあると何故か真ん中を選んでしまう
これらの行動は人間によく起こりうる現象なんです!!
なぜこれらの行動が人間によく起こりうるのか?
そして、その行動をやめて自分にとって価値のある行動へ操ることができるのか?
その疑問に答えてくれるのが今回の『行動経済学の使い方』です。
ちなみにこの行動経済学の特性を使ってに人間の行動をよりよくさせることを「ナッジ」と呼びます。
本書ではナッジを利用して次のような具体的な例を書いてくれています。
- 仕事
- 健康
- 公共政策
「何か難しそうだなぁ」と感じる方もいるかもしれませんが、普段自分が行っている行動が「なぜそうなっているのか?」ということに気付けるだけでも価値のある一冊です。
この本の構成は全7章に分かれて書かれています。
7つの章のタイトル
- 第1章 行動経済学の基礎知識
- 第2章 ナッジとは何か
- 第3章 仕事のなかの行動経済学
- 第4章 先延ばし行動
- 第5章 社会的選好を利用する
- 第6章 本当に働き方を変えるためのナッジ
- 第7章 医療・健康活動への応用
- 第8章 公共政策への応用
本の内容をざっくり話すと次のようなストーリーで書かれています。
- 行動経済学の基礎知識を学ぶ
- ナッジを取り入れるための手順を考える
- 仕事にナッジを取り入れる方法
- 医療・健康活動にナッジを取り入れる方法
- 公共政策にナッジを取り入れる方法
まずは最初の行動経済学の基礎知識を読んだ上で、ナッジを自分の生活にどんな風に取り込めばよいのか?を考えてみて、実際に試していくことで自分の目的にあった行動がとれるようになっていきます。
個人的な意見としては本書に記載されている内容は経営者や管理職の人、何かルールを作る人向けの内容が多いので個人的な行動に結びつけるには自分でやり方を考える必要がありますが、まずはやってみることが大事だと思います。
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本の中でもっとも興味が湧いた点2つ
『行動経済学の使い方』で自分がもっとも興味が湧いた点2つ説明します。
- 先延ばしを防ぐ方法
- 人を動かすための方法
先延ばしを防ぐ方法
一つ目の興味が湧いた点です。
「先延ばしを防ぐ方法」はこの本の6章に書かれている内容なのですが、先延ばしについての原因と対策が書かれてます。
年始や何かの節目などに目標を立てる人は多いと思いますが、目標達成するために行動しないといけないのはわかっているが先延ばしをしてしまうという人は多いのではないでしょうか?
例えば、「資格を取りたい」という目標に対して「勉強する」という行動を起こさないといけないが、勉強するのがめんどくさくて先延ばしするや、「健康になる」ために「運動する」ということを決めたのに続かない。
こういった先延ばしする行動の原因として本書では3つ挙げられてます。
- 現在バイアスが原因
- 目標そのものを忘れてしまう
- 目標を達成するためにやるべきことが明確になっていない
現在バイアスが原因
1つ目理由として「現在バイアス」が原因と言われています。
現在バイアスとは「遠い未来」のことよりも「近い現在」の方が魅力的に見えてしまうという人間の考えです。
ダイエットが成功しないのも現在バイアスの影響です。
「痩せる」よりも「ケーキ食べたい」に負けてしまいますw
じゃあこの現在バイアスに打ち勝つためにはどうしたらいいのか?について対処方法が書かれています。
その方法とは「先延ばしすることが難しくなるような状況を作る」です。
例えば「計画を変更する場合には自分に対して罰を与える」とか、自分が考えたのは「友達と毎日状況を連絡する」や「Twitterに宣言する」などはどうでしょうか?
目標そのものを忘れてしまう
これはそのままですね。
目標を立てたけどいつの間にか忘れてしまうってやつです。
忘れてしまうことが原因であれば対策は忘れないようにリマインドすれば大丈夫です。
例えば、スマホのカレンダーに毎月1日に通知するように設定すれば解決できます。
目標を達成するためにやるべきことが明確になっていない
最後の「やるべきことが明確になっていない」ですが、やるべきことが明確になっていないと人は何をしていいのか分からず結局いつもやっている行動をしてしまうという性質があります。
鈴木祐さんの「ヤバい集中力」にも書かれていましたが、人間の脳はリソースを節約したいので抽象的な内容は避ける傾向があります。
目標を立てただけでは何していいのか分からないため、脳が考えるのを嫌がって結局やらなくなるということです。
そのため、目標に対して具体的に何をするのかを決めておくことが対策になります。
例えば、目標が「ダイエットでリバウンドしないために筋トレをする」ではなく、「ダイエットでリバウンドしないために毎日スクワットを朝起きたら30回やる」みたいな感じです。
以上が先延ばしを防ぐ方法になります。
まとめると、こうなります。
・それぞれに合った対策をする
人を動かすための方法
続いて二つ目の興味が湧いた点「人を動かすための方法」です。
本書では「人を動かすための方法」として色んな実験が載っています。
その中でも特に面白いと思ったのが「少数派として意識させることで人を動かすことができる」という点です。
例えば次のような実験が書かれています。
税金の確定申告はしたけれど、期限内に納税していないという人がイギリスで問題になっていた。そこで、イギリスの徴税組織である歳入税官庁とイギリスの内閣府のBehavioural Insights Termは共同で、確定申告をしたが未納税の10万人に、納税を最速する手紙のメッセージ文として何が有効化を調べる実験を行った。
具体的なメッセージはつぎの5つである。
- 10人の内9人は税金を期限内に支払っています。
- イギリスにおいて10人の内9人は税金を期限内に支払っています。
- イギリスにおいて10人の内9人は税金を期限内に支払っています。あなたは今のところまだ納税していないという非常に少数派になります。
- 税金を支払うことは、私たち全員が、国民健康保険、道路や学校などの必須の社会的サービスからの便益を受けることを意味します。
- 税金を払わないことは、私たち全員が、国民健康保険、道路や学校などの必須の社会的サービスを失うことを意味します。
上記の質問のうちどのメッセージがきた時に行動したいと思いますか?
実験の結果としては、3番が一番効果があったそうです。
なのでもし他人を動かしたい場合は「あなたは現在少数派ですよ」ということを意識させることが大事ってことですね。
「影響力の武器」に出てきた社会的証明に似てますね。
社会的証明とは「みんながやっていることは正しい、だから自分もその行動を取る」です。
少数派を意識させられるとみんなと違うことで不安になって行動するってところでしょうか。
まとめると、こうなります。
以上が興味の湧いた点2つ目でした。
ひと言まとめ
最後にひと言まとめです。
・人を動かしたい場合は少数派であることを意識させる
書籍情報
【書籍名】行動経済学の使い方
【著者名】大竹 文雄
【出版社 】岩波書店 (2019/9/21)
【こんな人におすすめ】正しい意思決定をしたい、目標が達成できるようになりたい、人を動かしたい
【キーワード】意思決定、行動経済学、目標達成
【頁 数】 224ページ
大竹 文雄さんとても為になる本ありがとうございました。
以上です。ありがとうございました。
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