RTX830をDHCPサーバーとして使うと、LAN内のPCへIPv4アドレスを自動で割り当てられます。
この記事では、LAN1に接続した端末へIPアドレスを配布するための基本設定と、実際に割り当てられたことを確認する方法を扱います。Web GUIで配布範囲を変更する方法と、CLIで設定する方法を紹介します。
この記事で確認すること
DHCPサーバー機能を有効にし、IPアドレスの配布範囲を設定します。その後、RTX830のリース情報と端末のネットワーク情報を照合します。
DHCPサーバーが行うこと
DHCPサーバーは、LANへ接続した端末にIPv4アドレスなどのネットワーク情報を自動で割り当てます。端末ごとに手動でIPアドレスを入力する必要がなくなります。
今回確認する通信の流れは、次の1つだけです。

この記事では、端末が配布範囲内のIPv4アドレスを取得し、RTX830側のリース情報と一致した状態を正常と判断します。
設定前に決めること
DHCPを有効にする前に、LAN1のネットワークと配布範囲を決めます。以下は説明用の例です。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| RTX830のLAN1 | 192.168.10.1/24 |
| 端末へ配布する範囲 | 192.168.10.100〜192.168.10.200 |
| DHCPスコープ番号 | 1 |
LAN1のアドレスと配布範囲は、同じサブネットにします。固定IPで使うサーバー、プリンター、アクセスポイントなどがある場合は、そのアドレスを配布範囲へ含めないようにします。
同じLANに別のDHCPサーバーがいないことも確認してください。複数のDHCPサーバーが同時に応答すると、端末が意図しない設定を受け取る原因になります。
Web GUIでDHCPの配布範囲を設定する
ここでは、LAN1のIPアドレスが設定済みのRTX830で、DHCPの配布範囲を変更します。既存の設定を画面で確認しながら変更したい場合は、この方法で設定できます。接続方法はRTX830のWeb GUIへログインする方法を参照してください。
1. 「詳細設定」→「DHCPサーバー」を開く
「DHCPサーバーの動作モード」で、機能が有効になっていることを確認します。無効の場合は、この項目の「設定」から「使用する」を選び、「設定の確定」を押します。
次に「DHCPによるアドレス割り当ての一覧」を確認します。既存の配布範囲を変更するときは、対象の行にある「設定」を開きます。今回の実機ではスコープ1が登録済みだったため、その行を編集しました。

2. 配布するIPアドレスの範囲を入力する
「アドレス割り当ての設定」画面で、開始アドレス、終了アドレス、サブネットマスクを指定します。冒頭の設定例を使う場合は、次のように入力します。
| 画面の項目 | 入力例 |
|---|---|
| 識別番号 | 編集対象のスコープ1 |
| IPアドレスの範囲(開始) | 192.168.10.100 |
| IPアドレスの範囲(終了) | 192.168.10.200 |
| サブネットマスク | 255.255.255.0 (24bit) |
| ゲートウェイ | 空欄(同一LANの端末にはRTX830自身のIPアドレスを通知) |
| 標準・最大リース時間 | 既存値を確認。今回の実機ではどちらも72時間 |

3. 「確認」→「設定の確定」を押す
「確認」を押すと、入力した範囲とリース時間が表示されます。内容を確認して「設定の確定」を押し、一覧に戻ったら変更後の配布範囲を確認します。今回の実機では「設定を変更しました」と表示されました。
一覧の範囲が変わっただけでは、PCが新しいアドレスを取得したとは限りません。続けて端末のDHCPリースを更新し、後述の「端末へIPアドレスが配布されたか確認する」で照合します。管理用PCのIPアドレスが変わると、Web GUIの再ログインを求められることがあります。
実機で試した結果
RTX830 Rev.15.02.31で、GUIからスコープ1の配布範囲を変更しました。検証環境ではLAN1を192.168.100.254/24としているため、上の説明用設定例とはIPアドレスが異なります。
| 確認した段階 | 配布範囲 | Macが取得したIP |
|---|---|---|
| 変更前 | 192.168.100.2〜191 | 192.168.100.2 |
| GUIで変更し、DHCPを再取得 | 192.168.100.100〜150 | 192.168.100.100 |
| 元の範囲へ戻し、DHCPを再取得 | 192.168.100.2〜191 | 192.168.100.2 |
Macの有線LANサービスを無効→有効にして再取得したところ、変更した範囲内の192.168.100.100が割り当てられました。RTX830のshow status dhcpにも同じ端末のリースが1件表示され、RTX830へのpingも成功しました。最後に元の範囲へ戻し、CONFIGの取得結果が変更前と一致することを確認しています。
CLIでDHCPサーバーを設定する
コマンドで設定する場合は、以下の方法を使います。Web GUIで設定済みなら、同じ設定を重ねて実行する必要はありません。
LAN1のIPアドレスがまだ設定されていない場合は、最初に設定します。すでにLAN1を管理接続に使っている場合は、既存のアドレスを確認し、安易に変更しないでください。
ip lan1 address 192.168.10.1/24
続いて、DHCPサーバー機能を有効にし、端末へ配布する範囲を設定します。
dhcp service server
dhcp scope 1 192.168.10.100-192.168.10.200/24
| コマンド | 役割 |
|---|---|
dhcp service server | RTX830をDHCPサーバーとして動作させる |
dhcp scope 1 ... | スコープ1で配布するIPv4アドレス範囲を定義する |
この例ではgatewayを省略しています。Yamahaのコマンドリファレンスでは、DHCPリレーを経由しないクライアントに対しては、ルーター自身のIPアドレスが通知されます。
RTX830の工場出荷状態では、LAN1のDHCPサーバー設定が最初から入っています。中古機や設定済み機器では内容が異なるため、追加前にshow configで既存設定を確認してください。
端末へIPアドレスが配布されたか確認する
端末側のIPv4設定を「自動取得」にし、LAN1へ接続します。配布範囲を変更した直後は、端末が古いリースのアドレスを保持している場合があります。DHCPリースを更新するか、有線LANを接続し直した後、次の2点を確認します。
- IPv4アドレスが、設定した配布範囲内にある
- デフォルトゲートウェイが、RTX830のLAN1アドレスになっている
RTX830側では、次のコマンドでDHCPリースを確認します。
show status dhcp
show status dhcpには、スコープ番号、割り当て中のIPアドレス、クライアント、リース残時間などが表示されます。
正常と判断する条件
端末が配布範囲内のIPv4アドレスを取得し、RTX830のshow status dhcpにも同じリースが表示されていること。
RTX830 Rev.15.02.31の実機で確認したところ、スコープ1から端末1台へIPv4アドレスが割り当てられていました。show status dhcpでは、割り当て中1件、利用可能189件、リース残時間を確認できました。端末側でも配布範囲内のIPv4アドレスと、RTX830をデフォルトゲートウェイとして取得していました。
IPアドレスに加え、端末のMACアドレスとリースのクライアントIDも照合すると、確認対象の端末へ配布されたことを確かめられます。この記事では端末のMACアドレス、クライアントID、ホスト名を省略しています。
IPアドレスを取得できないときの確認点
| 状態 | 確認すること |
|---|---|
端末が169.254.x.xになる | LANリンク、DHCPサーバー機能、スコープ設定を確認する |
| 変更前のアドレスが残る | 端末のDHCPリースを更新し、新しい割り当てを確認する |
| 再取得しても配布範囲外になる | 端末が固定IP設定になっていないか、別のDHCPサーバーから受け取っていないか確認する |
| スコープはあるが払い出されない | LAN1とスコープのサブネットが一致しているか確認する |
| 意図した固定IPと重複する | 固定IPを配布範囲から外す |
検証用設定を元に戻す場合
GUIで既存の配布範囲を変更した場合は、同じスコープの「設定」を開き、変更前の開始・終了アドレスへ戻して確定します。端末でもDHCPを再取得し、元の範囲から割り当てられることを確認します。
今回の設定を検証のために新規追加した場合は、スコープを削除してからDHCPサーバー機能を無効にします。
no dhcp scope 1
no dhcp service server
既存のDHCPサーバーを利用中の場合は削除しないでください。特にSSHやWeb GUIをLAN1経由で使っていると、端末のアドレス更新後に管理接続できなくなる可能性があります。
まとめ
RTX830のDHCPは、Web GUIの「詳細設定」→「DHCPサーバー」で動作モードと配布範囲を設定できます。CLIではdhcp service serverとdhcp scopeを使います。
設定後は、端末側の取得アドレスだけで判断せず、show status dhcpに同じリースが表示されていることまで確認します。これで、設定がCONFIGにあることと、実際に1台へ払い出されたことを分けて確認できます。
RTX830へ接続するところから確認したい場合は、RTX830のWeb GUIへログインする方法と、CLIでCONFIGを確認する方法も参照してください。
参考: Yamaha DHCPの動作の設定、Yamaha DHCPスコープの定義、Yamaha DHCPサーバーの状態表示、RTX830 Web GUI操作マニュアル(DHCPサーバー)

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